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米澤 仲四郎; 松江 秀明
ぶんせき, 2004(2), p.75 - 82, 2004/02
比較標準試料を用いることなく、1または数個の中性子束モニターによって多元素を定量する法が中性子放射化分析の定量法として注目されている。法は中性子束モニターと元素の放射化に関与する核データを複合した係数を使用して多元素を定量する方法で、中性子照射場と線検出器を校正することにより4%の正確さで定量することができる。本稿では、法の原理,分析方法、そして現状を紹介する。
松江 秀明; 米澤 仲四郎
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 249(1), p.11 - 14, 2001/06
原研JRR-3Mの冷及び熱中性子ガイドビームポートに設置された即発線分析装置を用いて、k-中性子即発線分析法(k-PGA)により食事及びそれに関連する標準物質の多元素定量の検討を行った。PGAにkを適用することで、比較標準試料を使用しないで多元素を正確に定量できる。しかし、k-PGAの問題点として、元素の絶対濃度を直接求めることができない点がある。その解説策として、標準添加法により試料中の1元素を定量し、その値から各元素の絶対濃度を求める方法を検討した。その結果、国立環境研究所及び米国標準技術研究所(NIST)の食事あるいはミルク粉末標準物質中の軽元素を中心とした水素、炭素、窒素、ナトリウム、イオウ、塩素、カリウム及びカルシウムの8元素の定量が可能であった。また、NIST標準物質の分析結果はNISTの認証値に対して7%以内で一致した。
米澤 仲四郎; 松江 秀明; 安達 武雄; 星 三千男; 立川 圓造*; Povinec, P. P.*; S.W.Fowler*; M.S.Baxter*
IAEA-TECDOC-1094, p.344 - 345, 1999/07
ペルシャ湾岸地域では1990年の湾岸戦争の際の原油流出及び原油火災による環境汚染が問題となった。このような環境問題を解決するため、分析センターではモナコのIAEA海洋環境研究所(IAEA-MEL)と協力し、ペルシャ湾岸地域の海洋汚染研究を行った。本研究では分析センターで開発した中性子即発線分析(PGA)を使用し、(1)フィンガープリント法による汚染源の推定、(2)サンゴによる汚染履歴の推定について研究を行った。(1)に関しては、正確なフィンガープリントを作成するため、PGAのほか中性子放射化分析とICP質量分析を用い、原油、海洋生物及び堆積物中の43元素を定量した。また、PGAにより原油中のS/S同位体比分析の検討も行った。本研究により、原油中の微量元素Ag,Ba,Pbが汚染源の推定に有効であること、及び、サンゴの元素分析結果から過去の汚染履歴の推定が可能であることを明らかにした。
米澤 仲四郎; 松江 秀明; 星 三千男
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 215(1), p.81 - 85, 1997/00
被引用回数:14 パーセンタイル:72.17(Chemistry, Analytical)中性子即発線分析法(PGA)による環境試料中の多元素定量の研究を行った。JRR-3M冷及び熱中性子ビームガイドの即発線分析装置を使用し、比較法により21元素(H、B、C、N、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Co、Cd、Sm、Gd、Hg)の定量法の検討を行い、種々の環境標準物質の分析を行った。標準物質の分析結果、生物試料中のH、C、N、Clを除き、本法の精度、正確さは20%以下であることが明らかになった。種々の試料中の検出限界は、25~820ng/g:B、Cd、Sm、Gd、1.1~820g/g:H、Na、P、Cl、K、Ti、Mn、Co、Hg、0.031~10%:C、N、Mg、Al、Si、P、Ca、Feであった。本法を、INAA、ICP-MSとともに、ペルシャ湾岸地域の海洋環境試料分析に適用した。
米澤 仲四郎
Analytical Sciences, 12, p.605 - 613, 1996/08
被引用回数:27 パーセンタイル:71.49(Chemistry, Analytical)冷中性子ビームを使用した即発線分析法(PGA)による多元素定量法を確立し、各種標準物質の分析に適用した。JRR-3Mの冷中性子ビームポートに設置した即発線装置を使用し、比較法によりH、B、C、N、Na、Al、Si、S、Cd、Gd、Hg等21元素の定量法を検討し、岩石、生物、堆積物(池、河川、海洋)、石炭、石炭灰、頭髪及び環境試料等の各種標準物質の分析に適用した。これらの標準物質の分析結果からPGAの精度、正確さを評価した結果、大部分の元素はほぼ20%以内の精度及び正確さで定量できることを明らかにした。さらに、各種物質中の元素の検出限界は、B、Cd、Sm、Gd:ppbレベル、H、Na、S、Cl、K、Cu、Ti、Mn、Fe、Co、Hg:ppmレベル、C、N、Mg、Al、Si、P:%レベルであることも明らかにした。
米澤 仲四郎; 松江 秀明; 黒沢 達也*; 笹島 文雄; R.P.Putra*
2nd Int. k Users Workshop Proceedings, 0, p.129 - 133, 1996/00
日本原子力研究所では、JRR-2、JRR-3M、JRR-4の3基の研究用原子炉が稼動中であり、日本国内の中性子放射化分析に利用されている。これらの研究炉は、熱出力3.5~20MWと高出力で、熱中性子束10n・cm・s以上の中性子照射をすることができる。発表者らは、JRR-2とJRR-3Mを使用し、法に基づいた中性子放射化分析用コンピュータープログラムKAYZERO/SOLCOIによる多元素定量の検討を行った。中性子照射は、JRR-2気送管(Pn,f=6.510n・cm・s)とJRR-3M放射化分析設備(PN-3,f=1.910n・cm・s)で1~10min行った。法による分析を行うため、Al-CoワイヤーとZr箔を照射し、照射場の特性測定を行うとともに、各種標準線源を用いてGe検出器の校正を行った。線スペクトル解析はSAMPO90を使用した。海洋生物、石炭灰及び岩石等の標準物質と各種元素の標準試料の分析を行い、法の精度及び正確さの評価を行った。
米澤 仲四郎; 間柄 正明; 星 三千男; 伊藤 泰男*
Proc. of Int. Trace Analysis Symp. 94; ITAS 94, 0, p.81 - 84, 1994/00
JRR-3M冷及び熱中性子ビームガイドに高感度、低線バックグラウンドの即発線分析装置を設置した。冷中性子ビームにおける73元素の分析感度と検出限界を測定した結果、B、Cd、Sm、Gdが最も分析感度が高く、検出限界はngレベルである事が分った。冷中性子ビームを使用し、H、B、C、N、Na、Mg、Al、Si、P、S、Cl、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Co、Cd、Sm、Gd、Hg等21元素の定量法の検討を行い、岩石、生物、堆積物(池、海洋、河川)、石炭、石炭灰、頭髪及びその他の環境関係の標準物質の分析に適用した。これらの標準物質の分析結果から即発線分析(PGA)の精度及び正確さを測定した結果、大部分の元素はほぼ20%以内の精度及び正確さで定量できる事が明らかになった。更に、各種物質中の元素の検出限界を求めた結果、B、Cd、Sm、Gdはppbレベル、H、Na、S、Cl、K、Ca、Ti、Mn、Fe、Co、Hgはppmレベル、C、N、Mg、Al、Si、Pは%レベルである事が分った。